第80話ドリーム・オン

「俺が現れなかったら、君の継母と妹がお前を放っておいたとでも思うか?」

マルコムの瞳には、あふれ出しそうなほどの優しさが宿っていた。彼はリースの額にかかった一筋の髪を直そうと手を伸ばしたが、彼女は本能的にその手を避け、警戒心をあらわにした。

「何するの?」

彼女の警戒ぶりに面白くなったのか、彼はくすりと笑った。「髪を直してるだけだよ、可愛い人。何を怖がることがある? それとも、俺が噛みつくとでも思ったか?」

その言葉に、リースは思わず吹き出してしまった。「あなたが? 何かを仕掛けるって?」

自慢するわけではないが、たとえマルコムにその気があったとしても、まず彼女自身の実力を考えなけれ...

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