第362章

サラ

彼が寝室に大股で入ってきて、私はバスルームの戸口で顔を火照らせ、求める気持ちを抱えたまま取り残された。電話の向こうの相手への彼の声が聞こえてくる。そっけない返事、そして徐々に苛立ちを帯びていく声色。

「ええ、分かっています……いえ、その必要はありません……はい、明日対処します」

彼は必要以上に乱暴に電話を切ると、申し訳なさそうな顔で私に向き直った。「仕事の電話だ」

「大丈夫?」

「明日でいい用事だよ」彼は濡れた髪に手をやりながら言う。「でも、ムードが台無しになっちゃったな」

私は彼のほうへ歩み寄り、バスローブの紐を解いてはだけさせた。「そうかしら……」

飢えたような視線が私の体...

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