第268章 スパイクの取引

賀川時は当然、賀川哲也が寄越したそのキャッシュカードが何を意味するのかを理解していた。

これさえあれば、彼らの一族が経営する銀行から、預けられている全額を引き出すことが可能だ。

賀川時は雲田茜が金に困窮していることを知っていたため、あえてそのカードを手元に残したのだ。

「どうせ親父さんがビデオメッセージを残してくれたんだ。このカードの金を全部あんたの口座に移して、親父さんからの贈り物だってことにしちまえばいい」

賀川時は悪戯っぽく笑ってそう言った。

雲田茜はそのカードを見つめ、心が揺れるのを感じた。確かに今、彼女は喉から手が出るほど金を必要としている。

「でも……それってちょっと...

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