第38章

副部長が入ってきた時、佐藤絵里は横に立ち、伊藤朔也が書類にサインしてカードを通すのを見ながら、ふと胸に罪悪感が湧き上がった。

もし彼が知ったら、彼女が坂田和也との賭けのために…

いやいや、佐藤絵里、何を後悔してるの!この家は伊藤朔也がどうせ買うつもりだったんだから、早く買おうが遅く買おうが同じことじゃない!

それに、彼は非情な元婚約者なんだから、騙さなかっただけでも良心的じゃない。

「副部長」佐藤絵里は言った「ここはお任せします。私は先に他の用事を済ませてきます」

「え?今行くの?それはちょっと…」

伊藤朔也が顔を上げて彼女を見た「絵里、一緒に食事でもしないか」

他のことを提案...

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