第42章

「それで、ぶつかって、エアバッグが開いたりしたら、修理とかお金かかるし…」

彼は横を向いて彼女を見た「何を言っている?」

佐藤絵里は悲鳴を上げた「前見てよ!なんで私なんか見てるの!」

坂田和也は冷たく鼻を鳴らした。

「怒ってるのはわかるけど、命を賭けるなんかはやめてよ…それに、私たちふたりともこの車に乗ってるんだから、もし、もし事故ったら、あなただって…」

「運転席にはエアバッグがある」坂田和也は答え、口元に冷笑を浮かべた「助手席には、ない」

「え?!!?」

佐藤絵里の言葉に返ってきたのは、アクセルを踏み込む轟音だった。

彼女は胸を締め付けられる思いで、超危ないのスピードを感...

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