第46章

「……」

佐藤絵里は見ていられなかった。このままリンゴを剥かせていたら、果物がなくなってしまう。彼女は食べるものがなくなる。

「はあ、もういい」彼女は急いでリンゴを取り戻した「今食べるから」

坂田和也はフルーツナイフを棚の上に放り投げた「満足いただけましたか?」

「なに言ってるのよ」佐藤絵里はリンゴを齧りながら、彼を一瞥した「夫婦の間じゃ、こんなことは当たり前でしょう?それに、私が目を覚ましたとき、使用人が言ってたわ。私が気を失った後、あなたは……んっ……」

彼女の後半の言葉は、言い終えることができなかった。

なぜなら……温かい唇に塞がれてしまったから。

坂田和也は身を乗り出し...

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