第50章

夏目詩織の笑顔がゆっくりと凍り付いていった「北川芽衣、わざと事を荒立てるつもりはないわ。本当に遠ざかりたいなら、どうして坂田グループに残っているの?Ⅾ市を離れて、遠くへ行くべきよ。遠ければ遠いほどいいわ」

「私が坂田グループに残っていることまで、目障りなの?」

「あなた自身が裕也とは二度と会わないって口にしていたじゃない。でも同じ会社にいて、どうやって永遠に顔を合わせないつもり?」

「私が退職したら、あなたが養ってくれるの?」北川芽衣は尋ねた「それとも、もっといい仕事を紹介してくれる?」

夏目詩織は答えた「あなたが言ったことを、ちゃんと実行してほしいだけよ」

「私は絶対に自分から彼...

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