第51章

その一言で佐藤絵里は我に返った「え?今夜七時?」

「ああ」

「でも、昨日電話した時は、確か…」

「自分で体調は戻ったって言ってたじゃないか」

「あなた、私…どうして早く言ってくれなかったの」

坂田和也は淡々と答えた「忘れてた」

「坂田和也!」

「七時に着くなら、六時二十に出発しないと。あと二十分ある」

佐藤絵里は急いで部屋に駆け戻った。

坂田和也の口元に困ったような笑みが浮かび、すぐに消えた。

坂田家の本宅。

今日のキッチンは特別に忙しく、人手も応援に回され、使用人たちが行き来していた。執事が指示を出しながら確認作業を行い、すべての花が新鮮な摘みたてのものに取り替えられ...

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