第52章

佐藤絵里はその場に立ち尽くし、少し落ち着かない様子だった。坂田和也が前に歩き出すと同時に、手を伸ばして彼女の手をしっかりと握り、指を絡めた。

坂田和也はそのまま彼女の手を握り、坂田家の人々に紹介していった。

坂田おじいさん、お父さん、長男の坂田志羽、そして唯一の姫様坂田美咲。

佐藤絵里は大人しく一人一人に挨拶し、用意していた手土産を渡しながら、顔には控えめで穏やかな笑みを浮かべていた。

坂田志羽が車椅子に座っているのを見たとき、彼女は内心驚いたが、それを少しも表に出さず、しゃがんで両手で贈り物を差し出した。

坂田おじいさんは嬉しそうに笑った「坂田家も久しぶりの慶事だよ。さあさあ、絵...

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