第105章 男の告白

元々は大物スターを張り込んでいるつもりだったが、思いがけず江口匠海と田中春奈を発見してしまった。

彼の心臓が早鐘を打つ。瞳に宿る興奮は、まるで荒ぶる海の波のようだ。

彼は慎重に距離を詰め、ベストアングルを探りながら、ひっそりとレンズを二人に向けた。

彼女は少しだけ顔を上げ、眉を顰めている。その動作が、華奢な首筋と美しい鎖骨を露わにしていた。

江口匠海が不意に立ち上がり、彼女の隣に腰を下ろす。長い腕を伸ばすと、軽々とその肩を抱き寄せた。「疲れたか?」

低く落ち着いたその声に、田中春奈の耳が妙に疼く。

田中春奈の瞳がわずかに揺れた。

この男があと少し身を乗り出せば、二人の距離はゼロ...

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