第107章 関係を認める

彼女は音を立てないようにベッドから抜け出し、スマホの画面を覗き込んで——心臓が止まりそうになった。

十時二十分!

これでは、出勤なんて夢のまた夢だ!

桜井美咲に連絡を入れるべきだろうか? まさか江口匠海と一緒にいるから仕事をサボります、なんて言えるわけがない!

そんなことをすれば、給料を引かれるどころの話ではない。

田中春奈は素早く桜井美咲に電話をかけ、無事を装った。

「美咲、ごめん! 寝坊しちゃって」

「何がごめんなのよ?」電話の向こうから桜井美咲の声がした。「何かあった?」

「あー……ほら、昨日息子が怪我したじゃない? 今日、幼稚園を休ませてるから、それでバタバタしちゃっ...

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