第122章 嫌疑を晴らす

今回、井戸玲奈は医薬品の不正転売および企業秘密漏洩の罪に問われることになる。数罪併合となれば、少なくとも懲役五年の実刑判決は免れないだろう。

一方、アイフィ製薬グループは田中春奈への損害賠償に加え、江口グループに対して一億円にも上る特許侵害料を支払わねばならない。

江口匠海が抱える弁護士団は、一筋縄ではいかない曲者揃いだ。彼らにかかれば、相手を完膚なきまでに叩き潰すことなど造作もない。

「明日の晩、俺のパートナーとして晩餐会に付き合え」

江口匠海が不意にそう切り出した。

「パートナーなんて、他にいるでしょう?」

田中春奈は反射的に断ろうとする。

「誰もお前には及ばない。さっき俺...

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