第125章 和田七瀬の計画失敗

和田七瀬は少し離れた席に腰を下ろし、遠慮会釈もなく江口匠海に熱っぽい視線を注いでいた。

彼がグラスの中身を飲み干すのを、しっかりと見届ける。

今回盛った薬の量は、決して少なくない。しかも、即効性があるという特徴を持っていた。

和田七瀬によって差し向けられた女が、愛想笑いを浮かべて田中春奈に話しかけた。

「田中さん、ウイルス実験室にお勤めだそうですね。もしよろしければ、我が社の製薬ラインについてご説明させていただけませんか」

「申し訳ありません。業務提携のお話でしたら、直接江口社長にご連絡いただけますか」

田中春奈は軽く会釈し、礼儀正しく拒絶の意を示した。

その頃、宴会場では江口...

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