第126章 彼を救った

ベッドに横たわっているのが江口匠海だと気づいた田中春奈は、冷ややかな笑みを浮かべて言った。

「帰るわよ。ただし、彼も一緒にね」

「だめよ、匠海さんは酔いつぶれてるの。動けないわ。今夜はここに泊まるんだから」

そう言うと、和田七瀬は田中春奈の腕を掴んで引き止めようとした。

田中春奈はその手を乱暴に振り払う。

「酔ってるですって? それとも、何か『妙なもの』でも飲まされたのかしら? 和田七瀬、同じ女として軽蔑するわ」

和田七瀬は血相を変え、すぐさま掴みかかってきた。

「私のことに首を突っ込まないでちょうだい!」

田中春奈はスマホとバッグを放り投げると、躊躇なく踏み込んだ。

パァ...

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