第131章 真相、耐え難き過去

田中春奈はソファに頭を預けて仰ぎ見ると、自嘲気味に笑った。

「江口匠海、もう昔のことよ……今さら真相なんて追及しても意味がないわ」

江口匠海は深く息を吸い込んだ。

「俺はただ、真実が知りたいだけだ」

田中春奈は横目で彼を見る。その瞳の色は暗く、感情が読み取れない。

「あなた、田中由衣が好きなんでしょう?」

江口匠海は一瞬呆気にとられた。

「は?」

田中春奈は唇の端を吊り上げ、言葉を続ける。

「田中由衣が好きだから……私のことよりも、彼女を信じている。そうでしょう?」

江口匠海は眉をひそめた。

「違う。俺はただ真相を突き止めて、君を傷つけた人間を引っ張り出し、相...

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