第143章 愛慕の色

池田大和にとって、田中由衣のその顔立ちは、心を動かすのに十分すぎるものだった。

だが、彼はあくまで田中由衣の顔を通して、田中春奈の面影を追っていたに過ぎない。

「田中さん、また会えて嬉しいよ」

池田大和は腰を下ろした。

田中由衣は声を潜めるように言った。

「ごめんなさい、わざわざ来てもらっちゃって」

「いや、手間なんかじゃないさ」

池田大和は微笑む。

田中由衣は頬杖をつきながら、上目遣いで彼を見た。

「池田さんがこの前、私に聞きたいことがあるって言ってた件だけど……いつ聞いてくれるの?」

「君は、何を聞かれたいんだ?」

「焦らなくていいわ。今夜はまだ長いもの」

田中由...

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