第148章 迫り来る危険

「田中美智子」はスマートフォンのディスプレイに目をやり、即座に表情を綻ばせる。「田中春奈」からの電話だった。

「もしもし、春奈? どうしたの?」

田中美智子の声色には、愛娘への慈しみが溢れていた。

電話の向こうから、田中春奈の鈴を転がすような声が響く。

「お母さん、今夜ね、「江口匠海」さんがウチにご飯食べに来るって」

「江口匠海さんが? 彼がいらっしゃるの?」

田中美智子の声のトーンが数オクターブ跳ね上がる。明らかに興奮していた。

彼女は周囲を見回す。リビングのソファには「田中正太郎」と「田中由衣」が座っている。彼女は声を潜めた。

「それは素敵ね。すぐ準備に取り掛かるわ。ご馳...

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