第149章 誘拐計画の前倒し

彼らは「和田七瀬」の手駒であり、「江口祥生」が海外で丹念に育成した精鋭部隊だ。その手口は残忍かつ迅速。まさに殺人マシーンそのものだった。

男女混合の彼らは一般客に擬態し、人波に紛れ込みながら、着実に「田中」親子への包囲網を狭めていく。

「田中春奈」は息子の世話に夢中だった。腰をかがめて恐竜の解説をしたかと思えば、次はどの展示を見ようかと顔を上げる。すぐ背後にまで危険が迫っていることに、彼女は露ほども気づいていなかった。

その時、江口匠海の護衛である「大平」が不穏な空気を感じ取った。反射的に振り返ると、そこにはごく普通の保護者に見える中年女性が、微笑みを浮かべて近づいてきているだけだ。

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