第157章 田中の母、倒れる

田中由衣の瞳に、冷酷な光が走った。婚約式まで、あと半月。まだ時間は残されている。

大晦日の当日、江口匠海は田中春奈と田中克哉を連れて江口家の実家へと戻った。

田中克哉の姿を見るなり、江口翁の顔がほころぶ。彼はすぐさま使用人に命じ、用意しておいたお年玉を持ってこさせた。

「克哉、また背が伸びたな。ほら、これは曾祖父ちゃんからのお年玉じゃ」

田中克哉は「ひいおじいちゃん!」と愛らしく呼びかけ、お年玉を受け取ると、くるりと向きを変えて田中春奈に手渡した。

「ママ、預かって」

田中春奈は微笑んで息子の頭を撫で、それから江口匠海へと視線を移した。

江口匠海の足の怪我はまだ完治しておらず、...

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