第160章 毒を盛る

その時、書類へのサインを済ませた田中春奈が、こちらへ歩み寄ってきた。

田中由衣は鼻で笑い、冷ややかに言い放つ。

「田中春奈、あんたの魂胆なんてお見通しよ。ママの病気が重いのをいいことに、田中グループの株を奪い取ろうってんでしょ? 言っとくけど、そうは問屋が卸さないわよ」

田中春奈は怒りで全身を震わせた。彼女は田中由衣に指を突きつけ、声を震わせる。

「田中由衣……あなた、顔だけじゃなくて脳みそまで整形したの? 彼女は私の母さんよ。実の娘が財産を奪うわけないでしょう」

「母親だから何よ。あんたが消えてた数年間、一度でも電話寄越した? ママが病気になってから、一度でも見舞いに来た? ママ...

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