第24章 家庭の雰囲気

男のフェロモンが瞬く間に彼女を包み込み、何かを言いかけたその口は、男に両頬を掴まれ塞がれてしまった。

熱い唇が覆いかぶさり、彼女の声を封じる。

「ん……」

田中春奈の頭は真っ白になり、電流が体を駆け巡り、反応を呼び起こす……。

江口匠海のキスは強引で遠慮がなく、彼女に抵抗を許さなかった。

危険な気配を感じてようやく我に返り、必死に彼を突き放し始める。

「離して! 江口匠海、警告するわよ……」怒鳴りつけようとしたが、男は指の腹でそっと彼女の唇を押さえた。

「静かに。子供を起こすな」彼はかすれた声で言った。

田中春奈は目を丸くして彼を見つめ、その瞳に怒りの色がよぎる。

男の目の...

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