第27章 わざと迷ったわけではない

「そうだ、春奈。ご飯食べ終わって暇なら、デパートでも行かない? あなたの親友として、子供にプレゼントくらい買ってあげなきゃ!」

田中春奈がこれ以上何かを言うのを阻止するため、黒田若菜はすぐさま話題を変えた。

最初、田中春奈はきっぱりと断ったが、黒田若菜は諦めず、巧みな弁舌で説得を続けた。

田中春奈も彼女の話に心を動かされ、最後には仕方なく同意するしかなかった。

克哉さんはこの黒田さんという女性があまり好きではなかったが、物分かりの良い子なので、終始沈黙を保ち、何も意見を言わなかった。

食事が終わると、田中春奈は田中克哉の手を引き、黒田若菜と共にデパートへ向かった。

「克哉くん、お...

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