第34章 罠に落ちる

彼女の目に冷たい光が宿り、きっぱりとした口調で返信した。【フン!やるならやってみなさいよ。刑務所の底に沈めてあげるから】

【今夜六時、指定の場所で会おう。さもなければ、二度と息子には会えなくなる……】

相手はこちらの脅しを意に介していないようで、続けてメッセージを送ってくる。

息子は田中春奈の弱点であり、逆鱗でもあった。

息子の為なら、どんな代償も厭わない。たとえどれほどの危険を冒してでも。

あのクソ野郎が現れた以上、勇敢に立ち向かうしかない。

「わかった」田中春奈は深呼吸をして、メッセージを返した。

この戦いは、まだ始まったばかりだと彼女は知っていた。

一方、田...

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