第66章 自ら退く

食事の途中、克哉がふと何かを思い出した。

「マミー、明日、遊園地に付き合ってくれる?」

「克哉、明日は週末じゃないから学校でしょ!」田中春奈は少し不思議そうに彼を見た。

最近、田中春奈は頻繁に休暇を取ったり早退したりしており、会社では噂が飛び交っていた。

「学校が終わってから行けばいいじゃん、この前みたいに」克哉は期待の眼差しで彼女を見つめる。

田中春奈は一瞬言葉に詰まり、困ったように言った。「克哉、週末にマミーが連れて行ってあげるんじゃだめかな?」

「でも……」克哉はがっかりして俯いてしまった。

その様子を見かねた江口匠海が口を開いた。「克哉、明日はおじさんが一緒に遊びに行こ...

ログインして続きを読む