第75章 真実はあまりにも気持ち悪い

そう考えていると、不意に彼女の携帯が鳴った。手に取って見ると、なんと江口さんからの着信だった。

彼女は途端に緊張し、恐る恐る電話に出た。

「もしもし、江口さん」田中春奈はできるだけ平静を装って声を絞り出した。

「春奈ちゃん、忙しいかい? 匠海から私の誕生祝いのことは聞いたかね?」電話の向こうから、江口さんの穏やかな声が聞こえてきた。

「はい」田中春奈はちらりとソファにいる江口匠海に目をやった。

「必ず来ておくれよ!」江口さんは念を押した。

田中春奈は断りたかったが、情熱的な江口さんを前にして、どう切り出せばいいのか分からなかった。

彼女は意を決して承諾するしかなかった。...

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