第81章 田中由衣が再び彼女を陥れる

宴会場の中で、田中由衣は絶えず視線を巡らせ、江口さんに近づく隙を窺っていた。

だが、人が多すぎる。短時間で見つけ出すのは困難だった。

同時に、彼女は江口匠海と田中春奈の姿も探していた。

二人の姿が同時に視界に入った瞬間、由衣の胸の奥で嫉妬の炎が燃え上がる。

田中春奈のことだ、きっとこの機に乗じて匠海を誘惑し、人に見せられないような恥知らずな真似をするに決まっている。由衣はそう確信していた。

その予感は的中した。

由衣は近くにいたウェイターを引き止め、身を乗り出して耳元で何かを囁く。

言い終えると、彼女は踵を返して宴会場を出て、外の噴水広場へと向かった。

ちょうど、林田さんに支...

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