第84章 浴室のハプニング

長い時間が過ぎた後、江口匠海(えぐちたくみ)は拘束していた手を離すと、布団をめくって強引にベッドへと入ってきた。田中春奈(たなかはるな)の頬が再び朱に染まる。脳裏に焼き付いているのは、先ほど目にした彼の完璧な筋肉のラインだ。

「何するの!?」

田中春奈が驚いて声を上げる。

「抱いて寝るんだよ」

江口匠海の笑みには、悪戯な色が混じっていた。

彼女は思わず身をよじり、ベッドの端へと逃げようとする。落ちそうになったその瞬間——男が獲物を逃がすはずもない。長い腕が伸び、彼女をいとも容易く懐へと引き戻した。

「さ、先に寝て……」

「何から逃げてるんだ? 俺の体なんて、もう何度も見てるだろ...

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