第4章

三日後、私はビバリーヒルズのあのスタジオにふらりと舞い戻った。何かが変わろうとしている、確かな予感を胸に。午後の陽光がブラインドの隙間から鋭い筋となって差し込み、知司がミキシングボードの後ろで、静かに何かを待ち構えているように座っていた。

まるで、この瞬間を待ちわびていたかのように。

「もう一度『ミッドナイト・ドリームス』をやってみよう」

彼はブリスに言った。彼女は落ち着きなくヴォーカルブース内を行ったり来たりしている。

彼女が口を開く前から、私にはわかった。盗まれた私の声が、彼女の中で反乱を起こし始めている。

彼女が歌おうとした瞬間、そこから生まれたのは音楽と呼べるも...

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