第6章

ロサンゼルス・ミュージックセンターでのグラミー賞ノミネート発表は、吐き気を催すほどの偽善に満ちていた。知司に接触しようと三日間もがき続けた挙句、私が目の当たりにしたのはこの茶番だった。

無数のカメラがフラッシュの光を撒き散らし、レポーターたちがマイクを突き出す。この絢爛たる光景のすべてが、腐敗した死臭を放っていた。

「ネット上の憶測はさておき」グラミー賞の会長が、手慣れた自信に満ちた口調で発表する。「ブリス・ハートウェルの『エターナル・エコー』は、ソング・オブ・ザ・イヤーにノミネートされるに値するものです」

私の曲。奴らはテレビの生中継で、私を殺したことを公然と祝っている。

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