第102章:リース

俺は狭い部屋の中を落ち着きなく歩き回りながら、グレースがメイジーを連れて戻ってくるのを待ちわびていた。一体、何をそんなに手間取っているんだ? 俺たちはソーヤーの身に何が起きているのか、突き止めなければならないのだ。医師たちは口を揃えて、彼が何か衝撃を受けて力を「吸い取られ」、極度に消耗していると言うばかりで、そんな症例は見たことがないとお手上げ状態だ。そのくせ、俺たちに心当たりがないか尋ねようともしなかった。

あの娘はライカンだ。つまり、何が原因であってもおかしくはない。奴らに何ができるのか皆目見当がつかず、その無知さが忌々しかった。いっそのこと、あの種族すべてを憎んでやりたかったが、それは...

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