第129章:リース

アラナからのマインドリンクが不安定に途切れながら届いた瞬間、俺は悪い予感に襲われた。

「アルファ・キング?」

「なんだ?」

「つい先ほどまでグレース様とメイジーと森にいたのですが、トラブルがありまして……グレース様が走り去ってしまったのです。メイジーが後を追いましたが、私では追いつけなくて」

「トラブルとはどういうことだ?」

俺は怒りに任せて唸るように言った。たった一時間目を離しただけで、もう首までどっぷり面倒事に浸かっているとは。誓ってもいいが、彼女が俺の『番(つがい)』でなければ、こんなふざけた事態には付き合いきれないところだ。

アラナは怯えた声を漏らしたが、弱々しく答えた。

「見つ...

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