第148章:リース

俺は全速力で駆け出した。あの小さな布切れには、乾いた血がこびりついていた。

俺の狼も焦燥に駆られている。狼は葛藤していた。グレースを背に乗せて走れるという事実に興奮する一方で、レオンは彼にとっても親友だからだ。初めて変身した時から、俺たちの狼はずっと共に走ってきた。それ以来、俺たちが離れることはほとんどなく、片方だけで変身することも滅多になかった。彼なしでこの任務に就くのは奇妙な感覚だった。彼を救出しなければならないなんて。救出される側になるなんて、あいつらしくない。

今や全員が狼の姿になっている。ヘザーだけが例外で、彼女は携帯電話を手に持ち、レオンの携帯への道順を指示していた。追跡を開始...

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