第149章:恵み

私以外、全員が獣の姿に変化していた。私はリースの背に乗っていた。まるで彼が白馬の騎士であるかのように――もっとも、鎧ではなく毛皮だけれど。私は背後からついてくる気配に気づかないふりをした。リースは念話で仲間に「尾行されている」と伝えていた。きっとまともな作戦があるのだろうが、念話ができない私は蚊帳の外だ。だが今一番重要なのは、気づかないふりをして、できるだけ目立たないように振る舞うことだった。

国境付近は、彼らがレオンを連れて行く場所としてはいかにもありそうだ。だが、一体何のために? 罠でなければ、こんな遠くまで私たちを誘い出す意味がない。間違いなく罠だ。それでも、わざわざその中に飛び込んで...

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