第241章:リース

歩きながら俺はグレースを自分の傍らに引き寄せ、マイケルの肩を掴んでぐっと手元に手繰り寄せた。吸血鬼という連中をよく知っているわけではないが、信用してはならないということぐらいは知っている。彼らはグレースを知っている。その事実が俺を不安にさせていた。

マイケルも俺と同じようにアイリスを引き寄せようとしたが、彼女はその手を払いのけ、鋭い視線を彼に浴びせた。俺は二人に警告の眼差しを送ったが、すぐに視線を戻し、これから進む長い廊下を警戒して見回した。3メートルおきにドアが並んでおり、その奥に何があるのかは分からない。そして女王であるマーガレットがそれを明かす気配もなかった。

「他人行儀ね、リース」...

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