第91章:リース

背後のドアを閉めた瞬間、俺は躊躇した。直感が、グレースのそばを離れるなと叫んでいたのだ。だが、俺は狩りに参加しなければならない。そもそも、これはグレースのための行事なのだから。

最近の出来事を考えれば、俺が過保護になっているだけだとは分かっていた。彼女は俺の監視下で毒を盛られたのだ。それも、文字通り俺の目の前で。俺は彼女を守れなかった。誰かを守れないと感じたのは、俺の人生でこれが初めてだった。

だからといって、永遠に彼女を俺の側に縛り付けておくのは不公平だろう。それは彼女に、忌まわしい過去を思い出させるだけだ。たとえ彼女のためだとしても、檻に閉じ込めるような真似はできない……。俺は彼女のそ...

ログインして続きを読む