第16章 薬が効いた

水原寧々は目の前に置かれた一杯の酒を手に取り、藤原南を見つめた。

「私が飲んだ後、もう安田さんや安田笑顔を困らせないでください」

藤原南は頷いた。「わかった」

気のせいかどうかはわからない。

藤原南は、自分が飲んだこの一杯の酒が、まるで決別の酒のように感じた。

それは大きな決意を伴っているように思えた。

水原寧々の目には、心の死に匹敵するような別れの寒さがあった。

彼女の目には、光もなかった。

藤原南の手は椅子の背もたれに添えられ、突然震え始めた。

彼は彼女を止めに行きたい衝動を抑えた。

もし放っておいたら、彼は世界で最も貴重なものを失うだろうと感じた。

しかし、彼はた...

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