第17章 「今夜、君は私のものだ」

目を覚ましてから今まで、彼女は藤原南に何度も失望させられてきた……

記憶の中の藤原南は、何度も何度も殺されていった。

彼女には分からなかった。藤原南が後になってこんな人間になったのか、それとも元々こういう人間だったのか。

恋は盲目とはよく言ったもので、昔の彼女は藤原南の本性が全く見えていなかったのかもしれない。

昔から彼が彼女の前で演技をしていたとしたら、彼女にはそれを見抜くことなどできなかっただろう。

水原寧々は藤原南の手を振り払った。

突然の支えの喪失で、すでに力の入らない足は揺らめく体を支えきれず、彼女は後ろによろめいて床に倒れ込んだ。

みすぼらしい姿だった。

そしてこ...

ログインして続きを読む