第18章 林田祐一、助けて

倒れた葉田長明は痛みに顔をしかめながら、怒りに任せて襲ってきた相手に向かって拳を振り上げた。

「てめえ……」

しかし、相手の顔を見た途端、罵声は喉に詰まった。

顔面蒼白になった葉田長明は、頭を下げながら震える声で「は、は、林田社長」と呼びかけた。

逞しいボディーガードと秘書に守られているのは、黒いコートに身を包んだ背の高い林田祐一だった。

その表情は霜が降りたように冷たかった。

逃げ出そうとする葉田長明の前に、無表情なボディーガードが立ちはだかった。

5716号室の前に立つ表情の暗い男は、携帯を耳に当てながら、扉を叩いた。「水原寧々、ドアを開けて!私だ、林田祐一だ」

5716...

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