第33章 笑顔

「お姉さん、お母さんはまだ帰ってこないの?昨日の午後に電話があって、帰ってくるって言ってたのに、ずっと待ってるんだけど」——笑顔

笑顔からのメッセージに、水原寧々は返信の言葉が見つからなかった。涙を拭いながら、妹にこう返した。「心配しないで、笑顔。お姉さんがすぐにお母さんと一緒に帰るから、家で待っていてね」

「わかったよ、お姉さん」

笑顔は話せないため、携帯でしか意思を伝えられない。

身支度を整えた水原寧々が階下に降りると、林田祐一がダイニングテーブルに座っていた。豪華な朝食が並んでいたが、水原寧々の食欲は全くわかなかった。

彼女はテーブルに着き、林田祐一に言った。「ありがとうござ...

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