第37章 逃れられない魔の手

「カチャッ」

笑顔は思いがけなくお姉さんがずっと玄関先で待っていたことに気づいた。彼女はこっそり壁の時計を見た。もう8時近い。お姉さんはきっと仕事でとても疲れていて、壁にもたれかかったまま眠ってしまったのだろう。

笑顔は濡れた靴を脱ぎ、つま先立ちでそっとトイレへと向かった。ただ、彼女の歩き方はどこか変で、痛みを感じているようだった。

トイレから聞こえる音と妹のカバンを見て、水原寧々はようやく妹が帰ってきたことに気づいた。この子、自分が待っているのを見ても起こさないなんて。もしかして遅く帰ったことで叱られるのを恐れているのかしら?

もしかして妹が今日こんなに遅く帰ってきたのは勉強のため...

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