第25章

不思議だね、普通なら人が住んでいない山林には動物が少なくないはずだけど、私たちが山林を一周したのに、動物の姿は一匹も見つからなかった。

動物どころか、野生の果物さえ一つも見当たらなかった。

私だけじゃなく、永野豪も疑問を口にした「おかしいな、昨日はこの辺りで小動物をたくさん見かけたのに、今日は一匹の影も見つからないなんて」

私は気のない調子で相槌を打った「多分、外から侵入してきた連中が自分たちを食べようとしていることを知って、家族連れで逃げ出したんじゃないか」

永野豪は呆れた目で私を見た「久志、こんな状況でまだ冗談を言う余裕があるのか」

「冗談じゃないよ」私は手に持った槍を体に寄り...

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