第32章

山田瑶子は私がずっと黙っているのを見て、そっと私の服を引っ張った「ひさ兄、私はあなたを信じてるわ。あなたがそんな人じゃないって絶対に」

林田琳も頷いた「ひさちゃんには川村東を殺す理由なんてないもの。だから私も信じるわ。むしろ、あっちの方こそ、これからは平穏じゃなくなりそうね」

松本星子は頭をぽんぽんと叩きながら、「誰が何と言おうと、私もひさ兄さんを信じます」

私は林田琳に尋ねた「昨夜、佐藤雅子が出て行くのを見た以外に、誰か見かけた?」

「はっきり見えないわ」林田琳は思い出しながら言った「とにかく佐藤雅子が出て行った後、あなたたちの方からも誰かが出て行ったわ。でも暗すぎて、はっきり見え...

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