第4章

恵莉奈視点

翌朝、一本の電話が私の眠りを打ち破った。

「恵莉奈さん、先代が脳卒中で倒れられました。危険な状態です」

組の相談役である保の声は、張り詰めて重々しかった。

病院に駆けつけると、組の幹部たちはすでに集まっていた。ベッドに横たわる桜井啓雄の顔は土気色で、呼吸はか細い。医師からは、たとえ意識が戻ったとしても、二度と組を率いることはできないだろうと内々に告げられた。

「一家には、新たな頭が必要です」

保は、部屋に集まった幹部たちの顔を見渡した。

「金雲には連絡しました。光代さんには即刻戻っていただき、采配を振るってもらわねばなりません」

彼の名前を聞いて、心臓...

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