第7章

恵莉奈視点

恐怖は、常に最悪のタイミングで人を捕らえるものだ。

翌日、私は店で田中捜査官に追い詰められた。彼は卑しい笑みを浮かべ、言った。

「締め切りが近いぞ、恵莉奈さん」

私は無表情でその場を立ち去ったが、心臓は警鐘のように激しく鳴り響いていた。最悪なことに、いつ警視庁が踏み込んでくるか分からない状況だった。そして案の定、その日の午後、捜査員たちが捜索令状を手に店の厨房へと雪崩れ込んできた。

「警察だ! 全員動くな!」

極限のプレッシャーの中、私は冷静を保ち、無意識にお腹を庇いながら、鋭く指示を飛ばした。

「B区画の台帳を破棄して! 地下を片付けなさい! 今すぐ!」

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