第8章

恵莉奈視点

過去の記憶が途切れ、私の意識は、銃声が飛び交い混沌と化した結婚式場へと引き戻された。

突然、花見誠が私の腕を掴み、人質として引き寄せた。その完璧な仮面は完全に剥がれ落ち、整っていたはずの顔が醜悪な欲望に歪んでいた。彼は上着から拳銃を抜き、その冷たい銃口を、私の腹部に突きつける。

「一歩でも動いてみろ! こいつと腹の子ごと殺してやる!」

誠が、獣のように唸った。

「てめえの子だ、桜井! この女がてめえのガキを孕んでることなんざ、とっくに知ってんだよ!」

桜井光代の動きが、凍りついた。その顔に、驚愕と恐怖がよぎる。誠の銃口が腹にめり込み、腕が首をきつく締め上げる...

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