108-立ち止まって、落として、転がして。ベイビー、火がついてるから。

「その人を放しなさい!」

言葉を発しようと意識するより先に、叫び声が喉から迸り出ていた。思考も、計画もない。ただ純粋な本能のまま、呼び起こせる限りの魔力をソーレムの背中に叩きつけた。

炸裂した魔力は、ゴキッという鈍く、吐き気を催すような音を立てて彼の背中を直撃する。その音だけで胃がひっくり返りそうになった。ソーレムはよろめき、ルーカスを解放する。ルーカスはぜえぜえと喘ぎながら地面に崩れ落ち、まるで肺が胸から這い出ようとしているかのように激しく咳き込んだ。

ソーレムの清潔だったシャツの背中には大きな穴が開き、その縁は黒く焦げてまだ煙を上げていた。彼が実際に傷を負ったのかどうかはわからない。...

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