55-地図はありますか?あなたの目に紛れてしまいました。

レンの小さな、痩せた背中が遠ざかり、やがて人混みに溶け込んでただの染みになるまで、私は不安な気持ちでその後ろ姿を見送った。彼をあんなふうに独りで歩かせてしまうのは、まるで見捨てるようで、間違っている気がした。彼はまだ子供なのだ。学校の課題を心配したり、宿題に文句を言ったりしているべき年齢の子供。友達と遊ぶために門限を破ってこっそり家を抜け出すことはあっても、悪魔の背後でこそこそ動き回るべきじゃない。あまりにも不公平だ。

ルーカスが手を伸ばし、私の指に自分の指を絡めてくる。その握る力は強かった。繋がれた手元に視線を落としても、心は少しも落ち着かなかった。

「また会えるさ、クレア」ルーカスが静かに...

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