第10章 これで十分か

天宮星羅が腰を下ろした瞬間、出町社長の脂ぎった細い目が卑しく輝いた。

彼はまず、水を打ったように静まり返っている黒崎蓮の表情を窺い、それからそのねっとりとした視線を天宮星羅の体へと這わせ始めた。

この女、まさに極上の獲物だ。

話にならないほど美しい。その顔立ち、その肢体、彼が遊んできたどの一流女優よりも美しい。さらにたまらないのは、彼女が纏うその雰囲気だ。氷のように冷ややかで、野性的で飼い慣らせない誇り高さ。そういう女ほど、男の征服欲を掻き立てるものはない。

「黒崎社長」

出町社長はグラスを掲げ、顔に媚びへつらうような、それでいて探るような笑みを浮かべた。

「紹介してくれないんで...

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