第6章
千夏視点
K市大学の願書に戸籍抄本が必要になり、またあの天野宅へ足を運ばなければならなくなった。
土曜の夜、午後八時。天野健一と小川美智子はカントリークラブのガラに出かけているはずで、家は空っぽのはずだ。
玄関の鍵はかかっていなかった。富があれば自分たちは安泰だという、彼ら特有の傲慢な思い込みのせいだろう。私は音を立てずに忍び込み、重要書類がすべて保管されている書斎へとまっすぐ向かった。
その時だった。それを耳にしたのは。
地下室から、頭上のクリスタルのシャンデリアを揺らすほどの大音量で、重低音が鳴り響いていた。笑い声。話し声。
なんなのよ、これ。
地下室へ続く...
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