第6章

 霊安室には、悲痛な泣き声が響き渡っていた。

 織本遠矢が駆けつけた時、目に飛び込んできたのはその光景だった。彼は信じられないといった面持ちで、私の亡骸を見つめている。彼が常日頃「しぶとい」「腹黒い」と評していた娘は、今や誰かに捨てられたボロ切れの人形のように横たわっていた。

 夜勤の看護師長が入ってきた。手には血に濡れたビニール袋が握られている。

 彼女は遅れてやってきた「家族」たちを冷ややかな目で見下ろすと、その袋を安藤池に突き出した。

「亡くなった方の遺品です。息を引き取る最期まで、これを強く握りしめて離そうとしませんでした。指を一本一本剥がすのがやっとでしたよ」

 安藤池は...

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